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クリニック経営の落とし穴事例「税理士の判断ミスで医療法人化が遅れてしまった医院」

クリニック経営の落とし穴事例「税理士の判断ミスで医療法人化が遅れてしまった医院」

税理士には、医療法人に強い人と、強くない人の2種類の税理士が存在します。そのため、本来であればもっと早く医療法人化して節税できていたにも関わらず、顧問税理士に止められて、多額の税金を支払うことになってしまった医院あります。今回は、そういった事例をご紹介します。

 

顧問税理士の知識不足で、医療法人化が遅れた

Cクリニック(仮)は、開業4年目で年間の診療収入が5,000万円を突破。6年目には約8,000万円に売上がアップしたが、リース料や減価償却費といった経費が大幅に減り、税金の負担が重くなってきたことから、節税対策の必要性を感じていました。

4~5年目の段階で、院長は知り合いのドクターから「医療法人化すると、節税ができる」と聞き、顧問税理士に相談しました。しかし「医療法人は解散を余儀なくされた場合は、財産が没収されてしまいます。後継予定者がまだ決まっていないのであれば、決まってからでも遅くないのでは?」と否定されてしまいます。

その後も何度か相談したそうですが、その度に否定的なことを言われ、結局、院長が私のところに相談に来るまで、10年もの間、Cクリニックは医療法人化することはありませんでした。

 

6年目に医療法人化していれば、2,000万円の黒字

確かに、顧問税理士の言っていることは正しいのですが、実務的には院長や家族(役員)に対して退職金を出して法人に剰余金を残さなければ解決できてしまいます。私の見立てでは、開業6年目には医療法人にして良かったと考えます。もし6年目に医療法人化していたら、合計約2,000万円は節税できていたと思われます。

その後のCクリニックですが、私のところに相談にいらっしゃった後、無事、医療法人化し、現在では、Cクリニックは医療法人の節税メリットを享受していらっしゃいます。

 

医療法人に強い税理士を選ぶには?

なぜ、Cクリニックの顧問税理士は、医療法人化を勧めなかったのでしょうか? きっと、医療法人に強くない税理士だったのだと想像つきます。税理士の中には、医療法人の設立に携わった経験がない人や、そもそも個人開業医の顧客がいない・少ない人も多くいるのです

そういった税理士の場合、医療法人化の提案ができないのは、当然といえます。

 

違和感を覚えたら、他の開業医に相談を

ただ、そうは言っても、実際に開業する前は、ドクター自身も会計・税務に関する知識がないため、税理士が医療法人化の実務経験が豊富かどうか見抜きづらいと思います。

そのため、開業して半年~1年立った段階で、「この税理士は、医療法人に関する知識や経験が薄いかもしれない」と感じたら、医療法人化されているお知り合いのドクターに相談すると良いでしょう。もし、新しい税理士に変える場合、その税理士の人となりや業務内容や確認し自分と相性が合うか、納得するまでお会いすることをお勧めします

 

税理士にやってほしいことを明確にすべき

また、開業後には「顧問税理士に何をしてほしいのか」を明確にするのも大切です。

例えば、「毎月、試算表を出して、説明してもらいたい」「申告前に、納税額の予想や節税対策の提案をしてほしい」「医療機器購入のタイミングを提案してほしい」など。要望をリストアップした上で、ちゃんとやってくれているかどうかチェックしてみることが重要です。

ただし、経営や人事に関して顧問税理士に相談してもなかなか納得する回答が得られないと考えられます。やはり「餅は餅屋」と言われるよう、税理士は、税のプロであって、人事や経営の専門家ではありませんので、その道の専門家(コンサルタントや社旗保険労務士)に相談すべきだということも知っておきましょう。

 

まとめ

Cクリニックの場合、顧問税理士が院長の上司の親戚だったこともあり、別の税理士に変えづらいという事情もありました。しかし、顧問税理士はドクターにとって開業後、生涯付き合っていく「ビジネスパートナー」なのです。できるかぎり、幅広く情報収集し、信用できる人の意見を参考にして、信頼できる税理士を選んでいただきたいと思います。

 

 

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