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【閑話休題①】医療法人化のおかげで、簡単に事業継承ができた事例紹介

【閑話休題①】医療法人化のおかげで、簡単に事業継承ができた事例紹介

Last Updated on 2024年3月26日 by dls-admin

一般的に医療法人というと、「節税」におけるメリットがあると認識されている方が多いでしょう。

しかし、実はそれだけはなく「事業継承がしやすい」といった別のメリットもあるのです。医療法人化しておけば、事業継承ができた可能性があったにもかかわらず、そうしなかったがために、廃院を余儀なくされたクリニックも存在します。

今回は、そういった事例をご紹介します。

 

廃院したクリニックは、医療法人化をしていなかった

関東の郊外にあるEクリニック(内科・有床診療所)は、開業25年。患者さんの数も多く、医業収入は20,000万円と安定しており、かなりの額の税金を払っていらっしゃいました。

そこで、私は院長に医療法人化の提案をしたのですが、顧問税理士の反対を受けてしまいました。院長は、長年つきあいのある顧問税理士の言うことを信用し、医療法人にすることはありませんでした。

その後、院長はガンで入院をし、1年で亡くなってしまい、Eクリニックは廃院してしまいます。しかし医療法人化しておけば、Eクリニックは継続できたかもしれません。なぜなら、医療法人は、一時的にドクター以外の親族が理事長になることができるからです

院長には、奥さんと3人の息子さん(医大生、研修医、勤務医)がいました。奥さんが理事長になり、常勤のドクターを雇用し、勤務医の息子さんがEクリニックに戻ってき次第、バトンタッチをすることで、事業承継は可能だったと思われます。

 

医療法人は、事業継承がしやすい

医療法人には、個人診療所と比べて事業継承がしやすいというメリットがあります。そのことについて、個人診療所と比較しながら、詳しく解説しましょう。

 

個人診療所が事業継承する場合

親族承継であっても、開設者や管理者が代わるので、一旦廃院となり、再び診療所を開設するという手続き上大変な作業が必要となります。

また、有床診療所を廃止する場合は、都道府県にベッドを返上しなければいけません。その後、新たに有床診療所を開設するのであれば、改めて都道府県から許可をもらう手続きを行うことになります。

 

医療法人が事業継承する場合

事業継承の際は、理事長の変更のみでOKです。また、他の医療法人に事業全部を売却する方法や、他の医療法人との合併により、事業を引き継ぐという方法もとれます。有床診療所の場合、ベッドの返上や各種手続きは必要なく、そのまま継続が可能です。

 

医療法人は、売却しやすく、相続対策にもなる

また、節税以外の医療法人のメリットには、他に以下のようなものがあります。

 

売却がしやすい

医療法人化したクリニックを売却する際は、個人のクリニックよりは、価格が算定しやすいという利点もあります。

 

相続対策になる

平成19年に医療法が改正されて、医療法人には出資持分がなくなりました。そのため、医療法人に財産があったとしても、事業承継する際、医療法人が所有する財産に対して、相続税もかからないのです。

 

まとめ

Eクリニックの跡地には、全く別のクリニックが立っています。もしかしたら、院長が生前に医療法人化しておけば、息子さんたちが、院長の跡を継ぐことが出来たかもしれません。Eクリニックは地域住民から支持されているクリニックでした。地域医療のことを考えると、今後も存続するべきクリニックで
したので、廃院は悔やまれます。

今回ご説明したように医療法人には、節税以外にも、事業継承のしやすさ、売却のしやすさ、相続対策というさまざまなメリットが存在します。医療法人にするかしないかで、医院経営に大きな違いが出てしまうこともあるのです。

読者の皆様には、今お付き合いされている顧問税理士が医療法人や事業承継に精通しているかどうか、今一度、確認されることをお勧めいたします。

 

 

 

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