【コラム3】医院やクリニックで事務員の採用面接を看護師に任せると失敗する理由
大多数の患者様は、ドクターや看護師よりも先に電話応対や受付を通して事務員と接することになります。
そのため、電話応対や受付で接する事務員の発言や応対を、ドクターや医療機関の意見だと錯覚してしまうことが珍しくありません。
もちろん、大多数の患者様は、事務員が非医療者であることを知っています。しかしながら、心身ともに不安定な状態になっておられるため、事務員の応対や発言を、ドクターや医療機関全体の意見だと錯覚しがちです。
非常に残念なことですが、事務員の応対如何によっては受診の意思が失せ、初診につながらないケースも珍しくありません。また、事務員の離職にともなって、スキル不足の事務員が赴任した際に、以前から通院されておられた患者様が心証を損ねて他の医療機関へ移ってしまわれるケースもよく見られます。
では、事務員が看護師や臨床心理士のような患者対応ができなければ増患が図れないか?というと決してそうではありません。増患が図れる事務員のスキルとは、患者様のニーズをヒアリングする傾聴能力を磨き、決して自分では明確な回答を伝えず、看護師やドクターにヒアリングした内容を正確に伝達させることです。
患者様からの傾聴やニーズの伝達スキルは訓練で身に着くスキル
医療者、特に看護師などのコ・メディカル職の方は、患者さんのニーズを傾聴するスキルやメディカルスタッフへの伝達について、学生時代から身に着けるよう教育されます。したがって、さほどハードルが高いものとは思われないかもしれません。(場合によっては、社会人であれば、誰もが身に着いているスキルと錯覚されているかもしれません。)
特に、看護師が採用面接にあたる場合は、患者様のニーズをヒアリングする能力以外にもコ・メディカルとしてのスキルを無意識のうちに求めてしまいがちです。
これまでご説明させていただいたように、増患につながる有能な事務員は、医療機関内の簡単な研修で養成することが可能です。
スタッフ採用にもコストはかかります。医療機関内の人事体制等の理由で看護師をはじめとしたコ・メディカルが事務員の採用募集を行う場合は、原石になる有能な人材を逃さないようにするために、前述のことについて意識共有を行うことが重要です。
社会人としての応対がしっかりでき、事務処理能力がある人材を採用ラインに
事務員の採用を行う場合は、社会人として適切な応対スキル(電話応対・実際に患者様と接した場合の言葉遣いや立ち居振る舞いなど)ができており、事務処理能力がある方を採用基準にすることを医療機関内で共有するとよいでしょう。
医療機関の事務員は未経験ながらも有能な方は多数います。患者様の応対に対して必要なことは医療機関内で教育できることを求人募集で触れれば、有能な人材の応募は格段に増えます。傾聴のスキルや、患者様からのヒアリング内容をメディカルスタッフに正確に伝えるスキルの教育は、さほどマンパワーを要しません。また、医療機関内でのコ・メディカルの自分の役割を再認識する機会にもつながりますので、検討してみることをお薦め致します。
※ご不明点やお悩みなどをすぐに解決したい場合は、「お問い合わせ」よりご気軽にご相談ください。