【コラム10】優秀なスタッフが逆に医院運営を窮地に追い込む・解雇が難しくなるケースとは

更新日:2023.06.30
コラム

新たに開業された先生が患者様の指示を集めて医院経営を成功させるには、大別して３つの要素があります。「事務員の管理と教育」「医院経営に詳しい税理士への依頼」「営業意識を持つ」ことです。

本記事では、事務員の重要性について再掲したいと思います。

 

大多数の患者様が最初に接触するのは医師ではなく、事務スタッフ職員

「医院経営を成功させるためには、医師のスキル並みに事務員の対応スキルが重要になる」というと、驚かれる先生も少なくありません。その理由ですが、大多数の患者様が最初に接触するのは医師ではなく、事務員（事務スタッフ）だからです。

心身の変調を抱えて電話でコンタクトを取ってくる患者様に対して、適切な対応が提供できなければ、患者様が来院することはありません。そういった意味で、事務員の教育は医院経営の要の一つといえます。もっとも、事務員の対応スキルの教育に負担を感じる必要はありません。医療機関の事務員として必要なスキルは、一定の社会人経験を持っていれば入職後に身につくものです。

 

熱意がある職員＝他のスタッフを振り回してしまう存在になり得る～解雇が難しくなるケース

むしろ、優秀な事務員を採用するのは危険な場合もありえます。熱意はあるものの、他の職員と歩調を合わせられない職員の場合、医院としての機能を疲弊させることが珍しくありません。

たとえば、就業時間より一時間も早くやってきて業務を始める職員が入職してきたとします。経営側としては一見有り難く見えますが、賃金問題でトラブルに発展しかねません。また最悪の場合、労働基準監督署から是正を勧告される可能性すらあります。

さらには、熱意がある職員の意見に他の職員が異論を唱えられなくなり、事務職員全体に疲弊が重なって一斉退職するなどといった問題に発展することも珍しくありません。

行きすぎた熱意を指摘すると、「医院のためにやっている」などと抗弁することもあり、明らかに懲戒解雇にあたるトラブルを起こしたとしても解雇が難しくなる場合もありますので注意が必要です。

先生の指示を仰ぐ教育をまず第一に行うメリットとは

こういったトラブルを防ぐには、入職後から、先生の指示を仰ぐように指導を重ねることです。医師やコ・メディカルと違って、事務員は社会人になってからのバックグラウンドの経験が違います。昨今は、アルバイト・パートしか経験したことがない人も珍しくありません。そのような中に、高度な接客スキルを要する仕事に長年携わってきた人を放置しておくと、まず間違いなく職員の間で軋轢を生みます。

患者様に対応できるスキルは持っているわけですから、入職後は先生の指示を仰ぐことを第一に教育していくことでトラブルに発展することは少なくなります。先生の指示通り動くことができるようになったら、今度は事務員の教育を任せる、など順序が大切です。

熱意を持っている職員は、責任がある仕事を任されるとさらに努力を重ねます。こういった職員に事務員のスーパーバイザーになってもらえば、事務職員の患者様への対応スキルを底上げしてくれるのは間違いありません。必然的に増患につながり、医院の隆盛を実現できます。

また、熱意のある職員に教育役を任せた場合、給与額の適正な引き上げを忘れないことも重要です。他の職員より優遇されていることを自覚してもらうことで、さらに責任を意識した行動を取りモチベーションアップにもつながっていきます。

 

 

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