アイキャッチ

【第4回】優秀な事務員が離職を願い出る前に非医療者の役割とその重要性を教育する

【第4回】優秀な事務員が離職を願い出る前に非医療者の役割とその重要性を教育する

前回までのコラムでは、増患を図るには事務員の応対スキルが重要な要素であることをお伝えさせていただきました。

繰り返しになりますが、大多数の患者様は、ドクターや看護師よりも先に、電話応対や受付を通して事務員と接することになるためです。そのため、電話や受付で接する事務員の発言や応対を、ドクターや医療機関の意見だと錯覚してしまうことが珍しくありません。

事務員には、患者様のニーズに耳を傾ける傾聴のスキルと、ヒアリングした内容をスタッフに正確に伝える重要性を教育する必要があります。これこそが増患につながる重要な鍵の一つです。

しかしながら、事務スキルも優れていて、患者様の視点に降りて傾聴できる事務員が離職を申出るケースは少なくありません。事務員が離職を申し出た場合、多くの場合は俸給額や社会保険などの問題だと考えがちですが、離職を申し出る事務員のほとんどは実は別の理由で離職を申し出ている場合が多く、医療機関内での非医療者としての立場に不安を感じるか、役割以上のことを行うべきと考えて仕事を続け、燃え尽きて離職を申し出るという結果になってしまうのです。

 

非医療者として感じる温度差に不安を感じ続けて離職するケース

いうまでもありませんが、事務員は非医療者です。医療機関においては、ドクターをトップに全てのスタッフが基本的には医療者です。もちろんそれぞれの職域と専門性が違うことはいうまでもありませんが、医療者は、事務員が、コ・メディカル以上の人材なら身に着けている医療上の知識を持ち合わせていると錯覚しがちです。

特に看護師は、教育制度上の体系からして互いの職域をカバーしつつ分担することを教育されます。そのため、事務員をコ・メディカルの下部的位置付として無意識のうちに接するケースが少なくありません。

事務員は非医療者でありながら医療スタッフの一部として扱われていると感じて不安を感じてしまうケースももちろんあります。(発足前後、ホームヘルパーや介護福祉士などでも同様な現象は確認されていますし、かつては准看護師がそのような状態にあったと思われます。)

医療機関のスタッフ全員で、事務員は医療機関で最初に患者様に接し、患者様の立場でメディカルスタッフとの橋渡しを行う存在であることを共有することが、極めて重要です。これらの意識共有は、前回までのコラムでお伝えした、メディカルスタッフ全員が採用後の簡単な教育を共有することが簡単に実現できます。

役割以上の作業を求め続けられて燃え尽きて離職するケース

ドクターや看護師さんが、かつて医学や看護学を志された学生の時期に、医療者としての意識が芽生えた時期があったはずです。実習などで接する患者様を、全て背負わなければいけないと考えた方もいらっしゃったかと思います。有能な事務員は、同じように医療者としての心が芽生え始めているものの、医師や看護師のような教育プロセスの中にありません。したがって、有能で責任感が強い事務員ほど、自分に求められている役割以上のことを為すべきと考えているケースが珍しくありません。

こういった、役割以上の頑張りを続けて燃え尽きる離職を防ぐには、医師をはじめとしたメディカルスタッフが、事務員の役割とその重要性を、教育の中で理解させることが極めて重要になってくるのです。

ご不明点やお悩みなどをすぐに解決したい場合は、「お問い合わせ」よりご気軽にご相談ください。