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【第2回】増患につなげられる事務員のスキルは「傾聴」「伝達」「事務」

【第2回】増患につなげられる事務員のスキルは「傾聴」「伝達」「事務」

Last Updated on 2021年5月7日 by dls-admin

前回の記事では、医療機関の繁栄は、事務員がカギの一つを握っていることをお伝えしました。事務員は、非医療者でありながら、医療機関の中で、ほとんどの場合、最初に患者様に応対する存在だからです。

 

患者様の多くは、健康な方に比べて、程度の差はあれど、心身が不安定な状態にあります。したがって、事務員が非医療者であることは理解していても、事務員の応対や発言を、「医療機関の意見」として受け止めてしまい、健康な方ならなんら問題にならない電話応対や応対が、実は患者離れやクレームの発生につながることが珍しくありません。

とはいえ、患者様の応対について、看護師や臨床心理士のような対話スキルを求める必要はありません。
また、看護師や臨床心理士を事務員として兼任させるのも、必ずしも良い結果を生まないケースが多いことがわかっています。

事務員は「社会人としての基本的な電話応対能力」、「ワード・エクセル・メールをはじめとしたITの基礎的なスキル」といった、必須スキルを身につけていれば問題ありません。雇用後に、簡略な研修を行い、経験を積む中で「増患を実現する事務員」となりえます。

 

増患につながる重要なスキルは「傾聴」と他の職員への正確な伝達

 増員につながる事務員になっていただくために、新たに身に着けていただくスキルは、「傾聴」と「伝達」です。

 患者様の訴えの正確な内容(身体的症状や、医療者に対する質問)などについて、丁寧に耳を傾け、正確にスタッフへ伝えることを学んでいただく必要があります。傾聴の技術は、ドクターはもちろん、看護師をはじめとした医療従事者なら、学生時代から身に着けさせられる技術でもあります。そのため、ドクターをはじめとした医療者のスタッフが、これらのスキルが事務員にも備わっていると錯覚しがちです。

平たくいえば、事務員にこのスキルが備わっていないことが、患者離れやクレーム発生の原因といっても過言ではありません。逆に、事務員の方にこれらのスキルを身に着けていただき、事務員という役割の範囲内で行っていただければ、トラブルも回避できる上に、増患につながりやすくなります。

具体的には、簡単なマニュアルを作って傾聴と患者さんのニーズを正確に伝えることの重要性を理解してもらうことです。また、診療開始前に簡単なロールプレイングを行ったり、実務においては、看護師をはじめとした医療スタッフが、適宜サポートを行うなどの体制を用意することも重要です。

傾聴と患者様のニーズを医療スタッフに正確に伝える この重要性を理解させないと有能なスタッフほど離職する

有能な事務員の方ほど、自分が患者様のニーズを解決しなければいけないと考えるようになり、心理的に燃え尽きてしまうケースが珍しくありません。また、患者様は「病気」という、他者に心理的に依存しやすい状態になっています。そのため、事務員という立場から離れてはいけないことを教育する必要があります。

患者さんのニーズを正確にヒアリングして、自分の意見は述べず、医療スタッフに正確に伝えること。
このことはとても重要で、患者様にも医療者の役に立っていることを繰り返し伝えることで事務員は成長し、結果的に増患につながる対応を身に着けていくようになりますので、長期的に視野を広くしてゆくよう心がけるとよいかと思います。

 

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