第28回 なぜ受付の職員が、医院の売り上げを左右するのか
患者様の支持を集めて医院経営を成功させるには、大別して3つの要素があります。「事務員の管理と教育」「医院経営に詳しい税理士への依頼」「営業意識を持つ」ことです。
医療機関で働くスタッフは、医師以外にコ・メディカル(看護師、診療放射線技師など)、そして非医療者である事務受付などのスタッフに分けられると思います。
この中で、医療事務・受付のスタッフは医学的な教育を受けていません。
しかしながら、医院の売り上げを左右する重要な存在であることを気づいていらっしゃる方は、少ないように思います。
なぜ受付スタッフが、医院の売り上げを左右するのか? それは、新患が初めて応対するのが受け付スタッフだからです。
新患様の中には、電話で現在の症状を訴えて、診察をしてもらえるか(治るのか)といった質問をされる方も多いです。
こういった時に、電話の先の新患さんを不安にさせる回答をすると、おそらくその方はまず、来院することはないでしょう、
病院側は、受付スタッフを非医療者とみていても、診察を乞う患者様からみれば、受付スタッフはもっとも最初にコンタクトをとる医院を代表する医療者と認識しています。
新患さんを来院につなげるためには、受付の方の電話での接遇をよくすることを意識していただくことはもちろんです。
加えて、電話で医学的な質問を受けた時、どのような対応をするか、医院全体で決めておくとよいでしょう。
もっともベターなのは、新患から医学的な質問が出たら、医師に電話を替わってもらって、対応していただく方法です。患者様の心証もいいですし、ベストの方法といえます。
とはいえ、実際の医院の運営を考えると、医師に電話を替わってもらって新患からの問い合わせに対応していただくのは難しいと思います。
新患の患者様から、医学的な質問を受けた時は、医師に直接つなげないことを了解してもらうこと。
その上で、受付担当者が新患さんからの質問をメモにまとめ、医師の診察の合間に回答をもらい、新患さんに電話でフィードバックする仕組みを、医師・コメディカルの間で共有しておくとよいでしょう。
「申し訳ありません。現在医師は診察中で、直接お話いただくことが難しい状態です。私がうかがって、後ほど、御電話で回答差し上げる形でよろしいでしょうか。ではおそれいりますが、お電話番号をおうかがいしてよろしいでしょうか」
このような対応がベストでしょう。この方法であれば、患者様は、回答をもらうために自分の電話番号を医院側に伝えなければなりません。
病院に個人情報を預けた新患は心理的に、他院へ診察を受けに行きにくくなります。