【コラム12】患者様からの信頼を損ねてしまうケースとは?
新たに開業された先生が患者様の支持を集めて医院経営を成功させるには、大別して3つの要素があります。「事務員の管理と教育」「医院経営に詳しい税理士への依頼」「営業意識を持つ」ことです。
言うまでもなく、医師は、病という患者様の負担を除くことが仕事です。
しかしながら、患者様の負担とは、医療者の側からは違ってみえることも珍しくありません。本来、病とは個人的なものであり、どのように対処すべきかは、患者様自身に委ねられています。患者様にとってメリットだけの医療は存在しませんから、治療法の選択や、そもそも積極的に治療を行うべきかということも判断は、患者様ご自身にあるといのが自然な考えといわれる時代になっています。
患者様からの信頼を損ねてしまい、医師との溝がうまれてしまう現状
医師の視点からみれば、患者様の望む治療法には同意できないケースは珍しくないと思います。
たとえば、蓄膿症の治療において、マクロライドなどの内服療法を望む患者さんがいたとします。このような場合、医学的に見て、手術が必要な場合であっても、患者さんが手術を拒否するケースは往々にしてあると思います。
他科の先生でもご存じかと思いますが、以前の手術とちがって、下顎洞の蓄膿症手術などでも、内視鏡で対応できる場合が少なくありません。日帰りの手術が珍しくなくなっていますし、術後の痛みなどのデメリットも少なくなっていますが、患者様が同意しないケースは珍しくありません。
このような場合、患者様から「なんとなく恐いから」といった非合理的と思われる理由によって、先生の勧めた治療法を拒否されたとしたらどうでしょうか。大多数の先生は、患者様を説得しようとされるでしょう。
その際に、「あなたの価値観はわかるが、その方法だと効果は得にくいし、このようなデメリットも考えられる」といった説明がなされないと、患者様の信頼感を損ね、紹介による新患の来院が減る可能性があります。
あきらかに患者様が害をこうむる場合を除いて、患者様の選択(価値観)を尊重する
患者様の価値観を尊重するというと、「言いなりになる」と同義であると感じられるかもしれませんが、実際はそうではありません。患者様が選択を希望する治療法が、あきらかにデメリットだけが目立つ方法であれば、止めに入るのも医師の重要な役目だと考えます。
しかしながら、患者様が望む方法よりさらによい効果が得られる治療法であっても、拒否される場合、それは患者様の視点で見て、正当な理由があるということです。
医学的に治療効果が高い方法であっても、「通院回数が増える」「医療費負担が高くなる」「入院や、定期的な服薬をしなければならないといった、社会的な制約がかかる」という要素が加われば、患者様は医師の勧める治療法に、同意しないことが珍しくありません。
患者様が具体的な治療方法を提示する場合は、あきらかに害になるケース以外は尊重することが大事です。
ただし、患者様が選択しようとしている方法のメリット・デメリットを説明して、様々な方法の検討を促すことが重要です。そのことがトラブル回避はもちろん、信頼を高め、紹介を通じた新患の増患につながるといえます。
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