【コラム11】開業:他の地域・他の医院・他の病院との連携~紹介状の機能性について
本記事では、営業意識について別のテーマで触れたいと思います。
他科・他院・他地域の先生方とコネクションが重要
言うまでもなく、開業医は地域のプライマリケアを行う医師です。標ぼうされておられる診療科はもちろん、他科領域の疾患についても一定の知識を蓄え、対処できるスキルを求められるのが現状です。
大多数の先生は、勤務医時代に他科領域の疾患を訴える患者さんを、しかるべき専門医に紹介されてこられたと思います。開業医となられてもその判断は尊重されるべきです。
しかしながら、地域の医療機関と連携を持たなければ、紹介状が機能しないことになりかねません。そのため、開業に先立っては地域で先行して開業されている他科の先生方とコネクションを持つ必要があります。
他院への紹介が患者様の不満につながることも
医師の本来の役割は、患者様の疾患をより正確にとらえ、適切な治療を施すことです。その上で、他科の医師に委ねるべき場合は、速やかに紹介すべきと大多数の先生は考えておられるかと思います。
そのお考えは間違いなく正しいです。しかしながら、他科への紹介が患者様の不満を呼ぶこともあります。
たとえば、眼科専門医の医院へ、まぶたに腫物ができたと主張する患者が来院したとします。あきらかにヘルペスウイルスだとわかるものの、念のために皮膚科専門医の意見を問うため、紹介状を書いたとしたらどうでしょうか。昨今は不況が厳しいですから、仕事や生活の時間を割いて別の医院にかからなければならない患者さんも少なくありません。
加えて、一定以上の知識がインターネットで手に入る時代です。「抗ヘルペスウイルス剤入りの軟膏の処方ですむのに、医療費負担が増大した」と不満を唱える患者様もでてくるでしょう。
繰り返しになりますが、医学的にみて明らかに他科の医師に委ねるべき場合は、当然そうすべきです。しかしながら、その際は、他科の医師に委ねる必要性を患者様の視点で説明する必要があります。
ワンストップサービスは安全性を第一に考えコストを次に考える
先述の例ですが、皮膚科専門医を紹介せず、抗ヘルペスウイルス剤入りの軟膏を処方し、経過観察を行う選択をしたらどうでしょうか。他科の医師へ紹介状を書くよりも診療報酬は少ないかもしれませんが、患者様の負担も減り、満足度は上がります。そのため、再診や他の患者様の紹介が期待できます。
もちろん、安全性を担保できるからといって、ワンストップサービスが必ずしも医院の繁栄につながるわけではありません。
CTやMRIなどを導入してワンストップサービスを導入するにあたって、初期費用や運用のコストを診療報酬が上回るケースもありえます。この場合は、他にコスト回収を行うモデルが構築できないなら、サービスの提供を行うべきではないでしょう。まず、治療を提供できること。コストに見合うことを検討して問題がなければ、積極的にワンストップサービスでの治療を提供されるとよいでしょう。
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