【第17回】販売・サービス業の視点で見た時の医院に課せられる理不尽な税制
患者様の支持を集めて医院経営を成功させるには、大別して3つの要素があります。
「事務員の管理と教育」「医院経営に詳しい税理士への依頼」「営業意識を持つ」ことです。
販売業は仕入れに課税された消費税を売値に反映できるのに……
このようなタイトルをお伝えすると、お叱りをいただく先生もいらっしゃることと思います。
「医療は、サービス業ではないし販売業でもない」
ご指摘のとおりです。国民の生活において、医療は欠かせないものであり、本来は経済的な尺度では測れない性質のお仕事のはずです。
しかしながら、医院を経営するには経済的な収入(保険収入・自費収入)が必要なのは言うまでもありません。
また、院外処方を行われる先生が大多数になりつつあるとはいえ、診療科によっては院内処方を行わざるを得ない場面がまだあります。(本来、院外処方が可能であっても、患者様の負担を考えて、院内処方に戻される先生も多いかと思います。)
すでに、大多数の先生がご存知のとおり、院内処方をする場合、医療用医薬品の仕入れ(購入)については、消費税が課税されます。しかしながら、診療時の保険点数では消費税で補てんされません。(このことは、国会でも審議が続いています)
また、非常に安定した効果を見せる医薬品が再評価によって、保険点数が下がり、処方すれば損失を出してしまうケースも目立ってきました。
患者様ファーストだが、医院の経営を考えることは、結局患者様の利益につながる
もちろん、医療は患者様の健康と生命を左右するものですから、単純に経済的な損得だけで処方や処置を決められるものではありません。とはいえ、医院の経営を適切に保つことは、結局、患者様の最大の利益になると考えます。
2018年からは、東京都も人口減に傾くと考えられています。高齢者層が増えることを考えれば、生活圏にかかりつけの医院があることは、患者様にとって最大の利益ではないでしょうか。
黒字経営を維持し、患者さんにも経済的負担を減らしながら医療を受けていただく方法
現実の問題として、医療財源が縮小する中で、医院も黒字を維持し、患者さんにも経済的負担を減らした上で医療を受けていただく方法はあると考えます。
一つは、必要な検査・処置であればきちんと行っていただき請求することですが、意外な盲点になるのは税制の問題です。
先生方が内科・外科というように専門分野を標ぼうするように、実は税理士も得意な分野とそうでない分野があります。しかし、医院経営に精通している税理士は全体としてまだまだ少ないのが現状です。そのため、本来必要経費として計上できるものを記録していないために、税金が高くなってしまうケースも少なくありません。
あくまで経済的な面からみれば、医療機関も、販売業やサービス業と同じく仕入れをはじめとした経費を削減し、正当に売り上げを上げられる場合はきちんと保険請求すべきです。とはいえ、日常の診療の中で、このことを意識するのは難しい面もあるかと思います。
医院経営の税制に強い税理士に定期的に相談されて、経営の対策を検討されるほうが、患者様も先生方もメリットが大きくなるといえます。
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