
医療法人化を検討している・していない院長先生に保険営業パーソンが話すべきこと
医療法人化を考えている場合
医療法人化について理解しているかチェック
顧問税理士はあくまでもビジネスの一環として医療法人化を提案している
医療法人化は単純な手続きではない
また医療法人化の認可には、スケジュールがあります。これは各都道府県別にあり、医療法人は認可が下りてから法人を開設します。
例えば認可月が3月であれば、4,5月には開設できますが、ここであえて3ヶ月間は個人診療所としてやっていくことで、確定申告の際、概算経費率(保険診療と自由診療の合計の医業収入が7000万円以下かつ保険診療が年間5000万円以下の場合)を適用することができます。
実際、概算経費率を適用した方がメリットを享受できるか否か、実学の経費と比較する必要が有ります。
また医療法人化するにあたって社員を決めなければなりません。社員は、最低3人以上という要件があり、院長側が議決権を行使するためには社員の過半数を抑えなければなりません。
そうなると3人の社員の場合、院長先生の親族を必ず一人入れなければなりませんが、見逃している税理士が多いので、こういった情報を提供しましょう。
基本的に、保険営業パーソンが院長先生から信頼を勝ち取るためには、税理士より早く情報提供をしなければなりません。従って、なるべく早く院長先生にとって役に立つ情報を提供しましょう。
また保険営業パーソンは、保険を契約してもらわなければ利益になりません。そのためには、法人化のメリットを生かすためには、どう保険を活用すべきかという観点から話しをしましょう。
医療法人化の提案で覚えておきたい院長先生にとってお得な情報
医療法人化の提案のとき、このような情報を提供できれば、より院長先生に信頼されます。
・借入金の引き継ぎはできる
個人事業主として医院開業したときに、借入金で設備投資をして、その設備をそのまま使う場合、医療法人化しても借入金は、引き継げます。ただし運転資金やその他買掛金は引き継げないので、気をつけましょう。
また借入金を引き継ぐ場合は、債権者か役所の承認を得る必要があります。その場合、負債残高証明書・債務引き継ぎ承認願・金銭消費貸借契約書・返済計画表・借入残高の明細書を提出しなければなりません。
・小規模企業共済は脱退しよう
医療法人化は退職事由に該当するため、脱退する必要があります。
・中小企業退職金共済制度は利用可能
従業員のための制度は、医療法人化しても、特に加入資格を失わないので、こちらは引き続き利用できます。
・決算月はいつがいいのか
医療法人の決算月は任意で決められるので、閑散期を決算月にしましょう。決算期の利益が多額に出そうな場合、決算対策を講じる必要があり、そのためには、院長先生に検討する時間を取っていただく必要が有るので、比較的、忙しくない時期を決算期にすることをお勧めします。
・役員報酬の決め方
院長先生と家族に必要な可処分所得の合計額を算出し、逆算して役員報酬を決めましょう。
医療法人化を考えていない場合
院長先生の誤解を解く
もし、あなたが院長先生から信頼されている場合、質問すれば、その理由について、答えていただけます。
医療法人について、間違った認識を持っているケースも多く、その場合、誤解を解くために、分かりやすく簡潔に説明することが求められます。
医療法人化しない理由は税理士から説明されていないから?
医療法人に精通していない税理士は、医療法人化を提案しません。顧客が法人化の相談をしても、話をはぐらかしたり、否定的なアドバイスをして、法人化に反対する傾向があります。
そこで私たちは、院長に客観的な情報(法人化シミュレーション等)やメリット、デメリットも併せて提示し、最終的には院長先生に判断を仰ぐことをお勧めします。
医療法人化しないほうがいい医院とは?
・借入金が多額にある
・近い将来、プライベートで多額の資金を準備する用がある
・どんぶり勘定で長年経営してきて、事業で使うお金をプライベートでも使っている。
(事業貸しがある)
こういった医院は、ムリに医療法人化しないほうがいいでしょう。
売り上げが6,000万円以上でも、特に医院の建物や土地の借入金が多額にある場合
ただし実際に得するか損するかはケースバイケースなので、シミュレーションしたデータを見せてから話しましょう。
近い将来、プライベートで多額の資金を準備する用がある(例:家を買う・子供が来年から私立校に通うなど)
どんぶり勘定で長年経営してきて、事業で使うお金をプライベートでも使っている
医師に医療法人化を勧める手順
2.医療法人化するメリットがあるかを、客観的なデータを提示し、説明する
3.顧問税理士がネックになっているので、顧問税理士を代える。代えられない場合、設立の手続きだけこちらで任せてもらう。
税理士を代えられないケースがときどきあります。その場合、長く付き合ってきた税理士と人間関係ができあがっているため、代えられません。この場合、医療法人化のネックになっているのは設立手続きだけなので、設立手続きをお手伝いして、法人化後の決算業務は、は今まで通り、顧問税理士さんに任せましょう。
但し、医療法人の決算業務の経験がない税理士さんですと、不安要素が、有ります。
なぜならば、個人時代にない、知っておくべき下記のルールが存在するからです。
・医療法、運営管理指導要綱、都道府県ルール
・定款
・人的要件、配当金禁止等
本来であれば、上記のことを理解されている顧問税理士さんが望ましいでしょう。
こんなときはどうする?医療法人化Q&A
Q:医療法人化するほどの所得がない。
A:院長先生の所得が2,500万円以上あれば、医療法人化することで、節税メリットが有ります。
Q:プライベートで使えるお金が減る。
A:医療法人化すると、個人と財布が分かれますが、一人医師医療法人の場合、院長と法人は一体化しています。法人に貯まったお金は、最終的に退職金として回収できます。個人事業では、
退職金を受け取ることができません。退職金は、税制上の特典がいくつかあり、税金面で有利になります。
また手取額を増やしたい場合、毎期調整できる役員報酬を上げることで、手取りを増やせるので、「手取りが減る」と心配する必要もありません。
Q:借入金が多いので法人にできない。
A:所得分散ができるかシミュレーションをしてみましょう。
Q:厚生年金の負担が大きい。
A:節税額と、厚生年金負担額のコストを比較しましょう。常勤役員と従業員、パート(就労時間の4分の3勤務)は標準報酬月額の9.15%を支払わないといけませんが、法人の負担コストと
節税額を比べると、節税額のほうが大きくなることが多いです。